Personal Work

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始まり

蒼いほしを

見た

小学生のときのこと。

母ちゃんは働きにでていた。

少し厳しかった母ちゃんは、

「午後5時の夕焼けチャイムが鳴ったら絶対家に帰りなさい」

と言っていた。

しかし、

スーパー魚せんの前で母ちゃん待っている事だけは許された。

僕が夜外の世界に出れるのは、

スーパー魚せんの前に限られていた。

そこに座って1時間、多いときで3時間

母ちゃんを待っている事はとても面白かった。

入口の前に座っている僕に話しかけてくる人、少し。

ほとんどの人に僕は見えていない。

僕が見ているおばさんはまぼろしかもしれないとも思った。

そこで僕はただ行き交う人を見て、

ときに石ころが気になり生きていた。

そのときからたまにゆうれいもみた。

もしかすると、

スーパー魚せんの前のたたみ 1枚分のこの場所は

別世界へと続く宇宙船で、

僕はこの世界の住人ではないのかと考えてみたりした。

その感覚は今でも続いている。

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きっとそれは19才の

いましろみつきだったんだ

あるとき、僕は友達に写真をみせた。

友達は、

「なんかエイリアンズって曲があってさそれがきこえる」

と言った。

そんな話をまだ19才になったばかりの彼女に言ってたんだ。

なんか全てのものが現実かわかんないんだよって。

宇宙人かも知んないんだよって。

そしたらぽつりと真顔で

「私がエイリアンだったらどうする?」ってつぶやいたんだ。

今までの自分は何だか知らないけど、

自分の彼女は撮らないというポリシーがあった。

だけど、何だか今にもきえていきそうな

何ともいえない空気が漂う彼女を、

僕はたまに気を出して撮った。

くちぐせのように「一生セックスなんてしたくない」

と言う彼女を。

ヌード写真とかまったくわからないという彼女を。

ある日、何ともいえない感情になった僕は勢いよく、

「どこに出す訳でもなく今のあなたの裸を撮りたい」

と言ってみた。

予想に反して、彼女は小さくうなずいた。

勢いよく写真を撮ると何ともいえない感覚だった。

今まで彼女のブラジャーのひもが

人目につくだけでも嫌だった僕は

何のために撮っているのだろうと。

そして後日、まだ半乾きのプリントを彼女にみせた。

いつも自分の裸が嫌いと言っていた彼女は、

小声で、「あなたがこの写真たちを名作と思ってくれたなら、

私は名作と思うからどうか世に出してください」と言った。

その3日後、彼女はいなくなった。

みつきちゃんというマネキンをのこして。

まるで、この「えんの外」に

朱の印を押してもらったみたいな心境になったんだ。

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©︎ Koji Sato All Rights Reseved.